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十名直喜客員教授が「2022年度労務理論学会賞(特別賞)」を受賞しました

受賞
十名直喜客員教授が著書『企業不祥事と日本的経営 ―品質と働き方のダイナミズム』(晃洋書房、2019年)で労務理論学会賞(特別賞)を受賞しました。
労務理論学会の詳細については、公式ホームページをご覧ください。

十名先生 表彰状と表彰盾


企業不祥事と日本的経営 ―品質と働き方のダイナミズム

【著書紹介】
高品質と労使協調の象徴とされた日本の大企業に続発する品質不祥事、そして後を絶たない過労死やパワハラ。品質と働き方にみられたかつての「好循環」は、なぜ、どのように悪循環に転じたのか。両者の深い関係、その光と影を日本的経営論と企業不祥事論の視点から、さらに品質管理と能力主義管理、労使関係論の視点から解きほぐし、システム変革のあり方を提示する。

--目次--

序章 問われる日本的な品質管理と働き方
  1. はじめに――品質不正と働き方問題への複眼的アプローチ
  2. 企業不祥事論(いわば影の視点)からのアプローチ
  3. 「ものづくりと経営の原点に立ち戻ろう! 」
  4. 品質不正と過労死を促す日本的な働き方システム
  5. 本書の構成とねらい
第1部 日本的経営と品質管理
第1章 素材メーカーの品質不正とその背景
  1. はじめに
  2. 神戸製鋼の品質データ改ざん問題
  3. 三菱マテリアルの検査データ改ざん問題
  4. 東レの品質データ改ざん
  5. 日立化成の品質データ改ざん問題
  6. おわりに
第2章 機械メーカーの品質不祥事とその背景
  1. はじめに
  2. 自動車メーカーの品質不正問題
  3. 建物の免振・制振装置における検査データ改ざん問題
  4. 新幹線台車亀裂問題の深層と改革への視座
  5. おわりに――品質不正を生み出す経営と労働
第3章 日本的経営と品質管理への視座
  1. はじめに
  2. 日本的経営の特徴と品質管理
  3. デミングの組織論と日本的経営
  4. 品質および品質管理の意味とその変容
  5. 日本的な品質管理の発展とその特徴
  6. 日本的TQCの低迷と現場改善力の低下
  7. おわりに――日本的TQCの特徴と変遷
第4章 品質リスク管理と「日本品質」の創造
  1. はじめに
  2. 日本企業の学びとおごり――日米再逆転の背景
  3. 日本企業の重大不祥事と組織劣化
  4. 「現場力の低下」をめぐる懸念論と否定論
  5. 品質事故の要因と対策
  6. 新たな品質管理と「日本品質」の創造
  7. おわりに
第2部 日本的な働き方とシステム変革への視座
第5章 日本的な品質管理と能力主義管理
  1. はじめに
  2. 日本的な品質管理と労使関係
  3. 品質管理・能力主義管理・日本的経営の三位一体的ダイナミズム
  4. 日本的な働き方と職能資格制度
  5. おわりに
第6章 日本的な働き方と労使関係
  1. はじめに
  2. 日本的な働き方と労使関係への視座
  3. 「働くこと」への労使関係&産業システム・アプローチ
  4. 日本的な労使関係と働かせ方へのシステム・アプローチ
  5. 日本的労使関係の形成・展開プロセス――鉄鋼産業モデルをふまえて
  6. おわりに
第7章 新自由主義改革と「新日本的経営」による働き方システムの再編成
  1. はじめに
  2. 無限定な働き方と女性の就労抑制システムの相関関係
  3. 日本的な新自由主義改革と労使関係――画期としての80 年代
  4. 「新日本的経営」が打ち出した働き方システムの抜本的「改革」
  5. 1990年代後半以降における働き方システムの再編成
  6. ゴーン・ショックで問われる経営倫理と統治システム
    ――「新日本的経営」と企業不祥事への視座
  7. おわりに
第8章 グローバルな働き方と社会システム
  1. はじめに
  2. 日本企業の米国進出とブーメラン・インパクト
  3. 英国企業にみる日本的経営の導入と労働組合の関与
  4. ドイツ的な働き方と社会システム改革
  5. 日本の課題に応える働き方と社会システム
  6. 多様な働き方社会と価値観の創造
  7. おわりに
終章 日本的な品質経営とワーク・ライフ・バランスの創造に向けて
  1. はじめに
  2. 日本的な品質経営と働き方システムの歴史的変容
  3. 無限観から有限観へのパラダイム転換――日本的な働き方変革への視座
  4. 労働時間規制が促す歴史的ダイナミズム
  5. 無限定労働の抑制,人事評価の公開が切り拓く新地平
  6. おわりに――創造性と働きがいを生み出す職場と社会システムづくり