修了生の声 髙橋 映治さん/京橋グループ

笑顔と人の和で医療経営。培ったスキルで日本社会に貢献したい

京橋グループ CEO
髙橋 映治さん

髙橋 映治さん
今回お話を伺うのは、本学の9期生の髙橋映治さんです。2005年に医療法人財団京映会を設立し19年目となります。主に健康診断クリニックと介護施設の経営で、ご自身の多彩なご経歴、ビジネス分野や経営方針を語ってくださいました。


バンドでメジャーデビュー

――学生時代からのご経歴を教えていただけますか?
髙橋さん:進学校である市川高等学校時代に、あえて一流大学への進学を選択せず、ミュージシャンを目指したんです。18歳で事務所から声がかかり、その後メジャーデビューし、アルバムを出し一つの到達点を迎えたと感じました。この時代から、なんとなく人と同じ人生を歩むのではなく、自分の感性を信じ、好きなことを突き詰め、自由に挑戦したいという気持ちを持っていました。

現在は医療法人グループを経営しながら各種事業を行い、ロータリークラブや東京商工会議所で要職を務めていますが、自分の原点はこのミュージシャン時代にあると思っています。




――音楽の道に進んだ後はいかがでしたか?
髙橋さん:27歳でメジャーデビューしましたが、なかなか厳しい世界だと痛感しました。バンドメンバーとのめざす方向性の相違などもあり、ミュージシャンのキャリアは終了。並行して挑戦していた診療放射線技師の国家資格取得とともに、国立がんセンター就職による医療キャリアを歩むことに決め、人生の大きな方向転換をしました。


国立がんセンター勤務と7社投資経営

――全く新しい環境に飛び込んでみてどうでしたか?
髙橋さん:国立がんセンターは、それまでのミュージシャン生活とは180度違う世界で、診療放射線技師としての新たな第2の人生が始まりました。東大卒のスーパーエリートが集うような環境で驚きましたが、面白い人ばかりでしたね。知的好奇心が刺激され、勉強することが好きになり、大きなテーマも任されるようになりました。学会で研究結果を発表し、がん対策10か年計画という大きなプロジェクトにも参加しました。

ただ、高校の同級生たちに売れないミュージシャンとからかわれていたこともあり、何か大きなチャレンジをして見返したいという気持ちになっていて、30歳の時に一念発起して投資会社を作りました。

結果、最初に投資した案件が大当たり。その後飲食店、派遣会社、輸入会社含め、グループ会社が7社となり、ビジネスの規模を拡大したことで一定の成功をおさめたと感じました。ユニークなものではカラーひよこをアメリカに輸出する会社も作ったんです。それは船便でアメリカに送るとひよこがニワトリになってしまい、上手くいきませんでしたが。(笑)





ビジネスモデル×想い×お金の知識

――投資会社でのさまざまな出来事の後、どんなキャリアを歩まれたのでしょうか?
髙橋さん:投資会社の成功や失敗があった後に、父がつとめる健康診断クリニックの業務改善に従事することになりました。健康診断ビジネスは多くの人が毎年必要としているもののため、リピータービジネスとして堅実です。ただ、設備にお金がかかるためお金の借り方がポイントとなります。また、健康診断は他社でも同様のサービスが受けられますので、自社さえよければよいという姿勢だと誰の共感も得られず埋没してしまい、長続きしません。健康診断を通して何をしたいのか、お客様にどう喜んでもらうのかが重要になります。


――いよいよ、現在のサービスのスタートですね。立ち上げはどんな感じでしたか?
髙橋さん:なかなか順風満帆とはいきませんでしたが、5年ほど経った頃、医療法人財団京映会を立ち上げ、今のサービスをスタートさせることができました。経営理念のひとつに、「笑顔と人の和」があります。健康診断を受ける人は緊張感をもって来院するので、安全安心な場を作ることを何よりも大切にしています。また、「全ての事はお客様を優先する」を活動理念の柱とし、お客様からのクレームは事例報告書と改善修正案を社員に提出してもらい、丁寧に対応しています。クレームは宝の山。今後のアイデアやビジネスチャンスはお客様の声から生まれます。

さらに、お客様だけではなく、社員のことも真剣に大切にしています。これを伝えるために作ったのが、「介護サービス付き高齢者向け住宅」。社員の親御さんは優先的に入れる仕組みです。社員が安心して働ける環境を整えたいという思いで作りました。


医療法人財団京映会が取得した、おもてなし規格認証登録証。


MBAで勘が理屈になった

――SBI大学院大学での学びはいかがでしたか?
髙橋さん:健康診断クリニック経営では、お金の知識はもちろん大切です。経営に必要な知識を得るためにMBA取得を決心しましたが、それ以外も含めて、SBI大学院での学びは大変勉強になりました。企業経営に関して、勘で行っていたものが、理屈として理解できるようになりましたし、なぜそのような経営判断をするかについて、経営者や従業員、出資者含む周りのメンバーに説明できるようになりましたね。投資家を集めることを行ってきたので、バラバラな知識は持っていましたが、大学院を通じて学問が体系的に整理され自分のものとなり自信がつきました。特にマーケティングについて、理解が深まり楽しかったです。SBI大学院は人間学を学べるという特色があり、その点もユニークで大変充実していました。

巡回バス

――最近課題として感じられていることはありますか?
髙橋さん:世界的には、デカップリングが進み、経済のブロック化が現実のものとなっています。AIを活用する時代に入りましたが、これについても、自由陣営のバイアスのないAIと、規制の多い国のAIは混在できないのは、容易に想像がつきます。そのような世界全体としての長期成長に疑問がある中、日本は景気が上昇すると考えます。少子化問題はあるが、DXで労働生産性が上がり、成長を加速させるでしょう。過去の経験や知識で、その一端を担っていきたいと思います。


医療崩壊を食い止める

――実際に事業を運営されていて感じる現在の医療業界の課題と、これからのビジョンを教えてください。
髙橋さん:現在日本全国のクリニックは、トップの医師が高齢で、医療法人の理事長は医師免許が必要なため跡継ぎが不足している状態で、廃業が相次いでいます。首都圏以外の地域では医師不足が深刻な問題です。限界集落は特に難しいので、中核都市に人を集めて効率化する必要があります。現在の事業が安定したら、今後のミッションとして、「医療崩壊を食い止める」を掲げ、活動していきます。私の各種事業を経営してきたスキルと、医療法人独特のスキルを用いることで、日本社会に貢献していきたいと思います。今までさまざまなチャレンジをし紆余曲折ありましたが、ようやく自分の居場所を見つけることができました。どうやって社員とお客様に喜んでもらうかを真剣に考え、幸せの輪が広がっていることに感謝しながら、次なるステージに進んでいきたいです。

PROFILE

髙橋映治さん
髙橋 映治  Eiji Takahashi

  • 修了年月:2016年3月
  • 勤務先:京橋グループ CEO
  • 医療法人財団京映会 :https://kyoubashi.com/
  • 経歴:千葉県松戸市出身。市川高等学校卒業後、中央医療技術専門学校を経て、国立がんセンター東病院放射線部に入職。厚生省対がん10ヵ年戦略森山班研究助手。京橋グループCEOとして、健康診断クリニックを多数経営。

    京葉鈴木記念財団理事、東京臨海南ロータリークラブ役員、
    東京商工会議所江戸川支部副会長・商業分科会会長、
    東京商工会議所千代田支部、江戸川北法人会社会貢献委員会副委員長
    麹町法人会、東京中小企業家同友会千代田支部、
    市川学園同窓会幹事・就活支援委員会副委員長・企画委員会委員・東京支部幹事