独習ゼミ / 科目詳細

No.15

企業経営と会社法

講師:盧 暁斐
(SBI大学院大学准教授/博士(法学)中国弁護士資格)

   開講期間:112日間
   カテゴリ:企業倫理・経営思想
標準学習時間開講期間PDU
19.5 時間
※各章約1.5時間(動画平均視聴時間80分+確認テストの目安10分)×13回=19.5時間
112 日間13.5(T:0, L:0, S:13.5)
※T=テクニカル・プロジェクトマネジメント、L=リーダーシップ、S=ストラテジー&ビジネスマネジメント

授業の概要

近時、粉飾決算等の企業不祥事が後を絶ちません。その重要な原因は、会社のコーポレートガバナンスの不備にあるとよく指摘されています。そうした不祥事を未然に防止する為に、経営者にはコンプライアンス意識を持つのみならず、企業全体のコーポレートガバナンスシステムの構築も要請されています。そこで、本講義では、企業経営にとって最も重要な法律の一つである会社法をメインに解説することとします。
会社法は会社を取り巻くステークホルダー間の利害関係を調整し、健全な企業活動を可能にすることを目的とする法律です。本講義では、主として起業・設立、コーポレートガバナンス、コーポレートファイナンス、M&A等を含む会社法規制の基本を解釈した上で、実務上関心のあるテーマを抽出し、その関連判例を分析します。また、現行会社法とその動向を踏まえ、法のあるべき姿を考えると同時に、戦略法務的観点から企業としてどう行動すべきかという「ビジネス・プランニング」的な検討をも行います。


対象者

ビジネスパーソン全般(若手~経営者)


到達目標

企業の法的リスクが高まる中、会社法をはじめとした企業法務の重要性がますます高くなっています。本講義の目標の一つ目は、会社法の基本的な考え方や重要な制度及び企業における機能をよく理解し、会社をめぐる諸問題を分析・解決する能力を身に着けることです。二つ目は、企業経営者・管理者としてのリーガルマインドの養成とコンプライアンス意識の向上、企業の抱えるリスクをいかに回避・対応するかという「守り」の面と、経営環境の変化と法の変容に対応して会社法を戦略的に活用するという「攻め」の面の両方から実務能力を養うことです。


修了条件

全授業コンテンツ(配布資料および動画)の閲覧・視聴を完了し、かつ、各確認テストで合格点を獲得すること(満点の60%以上の得点で合格となります)。


前提条件

特にありません


学習項目 ※学習項目の番号は動画の章とは異なります。

1.ガイダンス・会社法の全体像
会社法は、日常生活では馴染みがなく、条文も多くてわかりにくいというイメージが強いです。しかし、実際にこの法律はビジネスの基本的ルールを定めており、ビジネスをするためには必要不可欠なものとなります。
本章では、本講義のガイダンスとして、本講義の授業内容と到達目標を紹介するうえで、会社法のビジネスにおける重要性と面白さを伝えます。そして、会社法の全体の構成を説明し、「株主主権論」等の会社法に関する法理論及び「所有と経営の分離」等の会社法の基本的な原則等を紹介します。
上記の内容を念頭に置きながら授業に臨むと、会社法のイメージをより掴みやすく、全体の授業内容をより理解できるでしょう。

2.企業形態の選択
起業するにあたって、個人企業から始まるかそれとも会社形態にするか、株式会社にするかそれとも合同会社にするか、という企業形態の選択の難題に直面します。本章では、まず企業形態をどのように選択するかという会社を設立する前に知っておかなければならない事項を取り上げて解説します。そして、個人企業から会社への企業発展のシナリオを段階に分けて説明し、組合、株式会社、持分会社等それぞれの特徴を指摘します。最後に、株式会社を中心に、株式会社の基本構造、特徴及び法人格に関する法的問題を取り上げて解説します。
上記の内容を把握することによって、各企業形態のメリットとデメリットを理解することに役に立つでしょう。

3.会社設立と会社法
会社を設立するためには、会社法上の規定に従って設立の手続を行わなければなりません。
本章では、株式会社の設立を中心に、会社法上の必要手続きと関連知識を解説します。その中、定款の定めや出資の仕方等に関する知識を説明するほか、設立中実際に生じやすい法的問題にも焦点をあて、関連判例を加えながら、設立無効・不成立を詳しく解説します。
上記の内容を踏まえ、会社を設立する際に遭遇しうる法的問題点を念頭に置きながら、実務でどのように対応すべきかを考えていただきたいと思います。

4.コーポレートガバナンスと会社法I
コーポレートガバナンス(また、「企業統治」と称す)の範疇では、主に二つの問題が議論されています。一つは会社の経営は、だれの利益を最優先にして行うべきかいう問題で、もう一つは、会社の経営管理機構をどう構築すべきかという問題です。後者には、会社の株主、経営者、債権者との利益のバランスをどのように図るべきか、経営者に対するモニタリングやコントロールをどのように行っていくか等の問題が含まれます。本講義の第四章から第六章にかけて、コーポレートガバナンスに関する会社法上の規定と問題点等について詳細に解説します。
コーポレートガバナンスを構築するためには、まず経営者の職務施行を監視するためにどのような組織や機構を作ればいいかを考えなければならなりません。本章では、まず会社の機関設計を簡単に紹介したうえで、株主総会の運営と決議の瑕疵について見ることにします。
本章を受講することによって、会社法範疇内のコーポレートガバナンスに関する理解を深めるのみならず、株主総会の運営等の実務にも役に立つと考えられます。

5.コーポレートガバナンスと会社法II
2014年の会社法改正により、社外取締役に関する規律が強化され、その会社経営に対する業務監督機能の発揮が大いに期待されています。
本章では、会社経営の担い手となる取締役に関する規律を解説します。まず、取締役の権限、資格等に関する規律を説明した上で、社外取締役の果たす役割について紹介します。そして、取締役会という会議体の運営、取締役会決議の瑕疵等について判例を踏まえながら説明します。最後に、代表取締役を取り上げ、その法的な権限及び権限濫用等の問題について詳しく解説します。
上記の内容は、経営の基本知識として押さえておきたい部分です。

6.コーポレートガバナンスと会社法III
取締役は、会社とは委任関係にあり、会社のために経営を行うことが要求されます。しかし、取締役は自分の利益のために会社と株主の利益を損なう経営行為を行うリスクも高いです。会社法はこういう事態を防ぎ、取締役等が職務を適切に行うことを確保するために、さまざまな規制を置いています。
本章では、これらの関連規制を解説します。そこで、監査役や監査役会等による監視の仕組みを紹介したうえで、取締役の義務と責任規制を詳しく説明します。
経営のインセンティブを低下させないと同時に経営者の不正行為を防ぐために、どのようにコーポレートガバナンスシステムを構築すればよいか、本章の授業を通じて、受講の皆さまと一緒に「健全なコーポレートガバナンスのあり方」について考えたいと思います。

7.コーポレートファイナンスと会社法I
会社は事業運営のために資金調達コーポレートファイナンスを行わなければなりません。通常は投資者から直接資金を調達する方法もあれば、銀行等の債権者から社債という形で調達する方法もあります。本章では、直接金融による資金調達の手法、すなわち株式をめぐって、株主の権利を解説したうえで、株式の内容について説明します。
種類株式の発行を通じて、企業は事業運営に必要な資金を調達できると同時に投資者の多様なニーズに応じることができます。一方で、株式の内容設定(株主の権利内容)や、会社の運営等の場面においては、株主平等原則に基づいて、株主の権利を十分に確保しておかなければならなりません。
近時、IR活動を積極的に展開し、株主との対話を重視する企業が増えています。本章の内容はこれらの活動を展開する際に役に立つことを期待します。

8.コーポレートファイナンスと会社法II
企業は事業活動を行うためには、「ヒト」、「モノ」と「カネ」という三つの要素が必要です。本章は、7.に続いて、資金調達に関する法規制を紹介します。
内容としては、新株発行に関する手続等を紹介し、事例を参考にしながら、新株発行の瑕疵をめぐる事前防止措置と事後救済措置を解説します。そして、新株予約権、社債について、その発行手続きや実務での利用例をあわせて説明します。
上記内容を踏まえ、経営者としては、株主と債権者の利益を考慮しつつ資金調達するように心構えなければなりません。

9.会社の会計と会社法
企業の経営成果と財務状況を把握して、関係者に開示することを会計といいます。株主と債権者の利益の確保という観点から、会社法は、会計に関して一定の規則を定めています。これらの規定は、強行規定として会社による遵守を要求します。
本章では、会社法における会計に関する規則を概観した上、剰余金の分配や自己株式の取得・処分等に関するルールを具体的に解説します。
当然、ただ一章の分量では会社法の会計規則を十分に理解するにはほど遠いです。余裕のある方は、企業会計等他の授業と合わせて、会社法上の会計規則の趣旨及び内容をさらに掘りさげることが望ましいです。

10.M&A等と会社法
昨今、日本経済の構造的な変革の過程において、企業を取り巻く環境は急激に変化しています。どの企業でもその経済環境の変化に的確にしかも迅速に対応することが求められています。そこで、組織再編、M&Aも会社経営戦略上の一つの重要な手法として位置付けられています。10.から13.にかけて、企業の組織再編、M&Aについて主に会社法上の規制とその活用例を解説します。
本章では、まずM&Aの意義、目的等に関する一般論を紹介します。そして、株式取得による買収方法として、公開買付、第三者割当増資等を取り上げ、その法的手続きと実務上の運用を解説します。会社法上の組織再編の意義を説明し、組織再編の中で最も重要な合併を中心に、その法的効果や各合併の種類等を詳しく説明します。
本章の受講を通じて、M&Aの意義を理解し、それに関する様々な法規制の趣旨と枠組みを把握すれば、次章からの内容をより理解しやすくなるでしょう。

11.M&A等と会社法II
本章では、前章の続きとして、合併の法的手続きを詳しく説明します。そして、他のM&Aの方式である会社分割、株式交換、株式移転についても解説します。
特に、合併に関する会社法上の規制は、少数派株主と債権者の利益保護を考慮して定められたものです。そのため、合併に際して、反対株主の株式買取請求権や債権者の異議申述の権利等が設けられています。
また、組織再編の手続き上の瑕疵等によって、当該組織再編が無効になってしまう可能性もあります。本章は、この点について、「合併比率の不公正の場合に、合併が無効になるか」という法的問題を取り上げ、判例を通じて詳細に紹介します。
上記の内容を通して、合併等組織再編に際して、生じうる法的なトラブルを事前に予防するために、少数派株主と債権者の利益を考慮し、法的手続きは慎重に進めるべきであることを認識できるでしょう。

12.M&A等と会社法III
企業は経済環境の変化に応じて適宜に事業を再編する必要があります。その中に、事業取得による買収として、事業譲渡もよく行われます。また、企業グループ、つまり親子会社の形で経営を展開されることも多いです。本章では、M&Aに関する会社法規則として、まだ紹介していない部分を事業譲渡と企業グループ規制に分けて解説します。
特に企業グループ規制については、会社法の改正項目としてよく検討されていましたが、立法化された項目はごくわずかにとどまっています。本章では、多重代表訴訟(上から下へ)すでに存在する親会社株主を保護する規制を紹介したうえで、子会社株主保護の欠如等の問題点についても言及します。
上記の内容は、実務より学術的な色彩がやや強いが、関連する議論を知ることは、これから会社法改正の動向を把握するには有益です。

13.M&A等と会社法IV
本章では、10.~12.の基礎知識を基に、M&Aに関する判例を取り上げ、分析・解説します。その中、特にビジネスにおいて関心の高いテーマ「敵対的買収と買収防衛策」を取り上げ、会社法的な(判例上)考え方を紹介します。
敵対的買収に対抗するために、買収防衛策を導入することは有効な手段です。しかし、法的観点からみると、防衛策の導入は、経営陣の保身に利用され、企業価値または既存株主の利益を損なうリスクも高いです。そこで、本章では、各買収防衛策の手法を紹介したうえで、判例紹介を通じて、買収防衛策の正当性を法的にどのように判断しているかを説明します。


PDUについて

・本コースは、PDU対象コースです。
・本コース受講により、「公式なプロジェクトマネジメントの研修の受講(PMP®受験資格)」となります。
・PMPは、プロジェクトマネジメント協会(Project Management Institute, Inc.)の登録商標です。


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