北尾理事長 祝辞 新入生の皆さまへ


北尾 吉孝

皆さん、本日はご入学おめでとうございます。
書面により、皆さんへの祝意をお届けします。

私は、皆さんは非常に‟いい選択をされた”と思います。
なぜそう思うかというと、まず、こういうユニークな大学院大学は世界広しと言え、本大学院大学の他にないと言うことです。すなわち「本学」、言い方を変えれば「人間学」、そして「末学」、言い方を変えれば「時務学」。このふたつを教えているオンラインの大学院大学は本大学院大学の他にありません。さらに、文部科学省の認可を受け、修了するとMBAも取得できるということです。

ではなぜ、人間学と時務学の両方を教える大学院大学を作りたいと思ったか、そして、何故そこに集う人にできれば起業をしてもらいたいと思ったかについてお話ししましょう。

まず、この国を良くしようとした場合に、我々ひとりひとりが人間として徳性を高めないと国は良くなりません。起業家は自分の創業した会社のリーダーとして、多くの人を雇用し、その人たちを人間として成長させるべく感化する。そういう当然の役割があるわけです。志念を共有化し、そして役職員たちを順次感化していき、一燈照隅そして万燈照国で世の中を変えていくのです。その根本にあるのが人間学です。

いわゆる経営学や、法律の知識といった単に時務学と称される学問だけではなく、やはり人間学が必要だと思ったのです。私は究極、人を動かすのは何かというと、人間力ではないかと思います。そういう人間力を醸成するような教育は世界広しといえどもなかなかないと思います。そして、人間学と時務学を学べる本大学院大学は徐々に社会からも認知される存在になりつつあります。
ぜひ本大学院大学での学びと、教員や高い志を持って入学した学生同士の出会いが、皆さんのこれからの人生の糧となるよう切磋琢磨してもらいたいと思います。

もう一つ皆さんにお伝えしたいことは、人類はコロナ禍という未曽有の危機に直面し、我々を取り巻く環境の不確実性も一層増大しましたが、そうした状況は企業や組織、個人にとって本物に生まれ変わるチャンスだと捉えてほしいということです。『易経』には「窮すれば即ち変ず、変ずれば即ち通ず」という言葉があります。この「変ず」という部分が大事です。窮があったらば、そこに新しい変化が生じ、新しい道が開けて来るのです。松下幸之助さんも「かつてない困難からは、かつてない革新が生まれ、かつてない革新からは、かつてない飛躍が生まれる」と仰っています。革新的な発想というのは、順風満帆の中では中々生まれてきません。寧ろ環境の悪い時の方が、良い発想が出てきます。松下さんの考えは、そんな体験の中から生まれた味のある言葉だろうと思います。

最後に、一度きりの人生の中でこのタイミングに入学された皆さん方は、まさに「同志」と言えましょう。このご縁を活かして、まだまだ大変な時期は続きますが、元気に明るく希望をもって、SBI大学院大学での学生生活を歩んでもらいたいと思います。

ご入学、おめでとう。




2023年3月25日
SBI大学院大学
理事長 北尾 吉孝