野間先生金融ブログ

米国政府による中国の「為替操作国」の認定は見送りに

為替操作国
 米国財務省は、4月14日に公表したで、中国に対する「為替操作国」の認定を見送った。トランプ氏は、大統領就任前から、「中国を為替操作国に認定する」と公言していたところであり、トランプ政権発足後で初となる今回の報告書が大きな注目を集めていたが、ふたを開けてみると、「認定見送り」であった。仮に、公言通りに今回の報告書が中国に対し為替操作国の認定をしていた場合、米中間の深刻な貿易摩擦を惹起する可能性もあったが、トランプ政権は、北朝鮮政策での協調も視野に入れながら中国に配慮して、公言を撤回する格好となった。良く言えば「柔軟」、悪く言えば「予測不能」なトランプ政権の姿勢が、本件にも表れたと言えよう。
 今回の報告書で、もう一つ注目すべき点は、オバマ政権下の昨年4月の半期報告書で初導入された「3つの数値基準」「監視リスト」の仕組みを、トランプ政権下の今回の報告書も踏襲している点である。そして、中国であるが、昨年4月と10月、及び今回と、3回連続で半期報告書上の「監視リスト」国に掲載されている。さらに、中国以外にも、日本、ドイツ、韓国、台湾が3回連続で「監視リスト」に掲載されている。
 このようにして、今回の半期報告書は、注目されていた中国向けの為替操作国の認定は見送りつつ、中国や日本などを前回までと同様に「監視リスト」には載せて、今後の動向を注視する姿勢を示している。なお、今回の報告書では、中国に関しては、「為替政策で世界の貿易システムをゆがめ、米国の労働者や企業に相当な苦悩を与えた」と指摘するとともに、「輸入品の参入を制限している」として、一層の市場開放を求めている。その一方で、「最近の中国当局による市場介入は、米国などに悪影響を与える人民元の急速な『下落』を防ぐためのものだ」として、一定の理解を示している点も注目される。      
野間修

【略歴】 
神戸大学法学部卒業。財務省(旧・大蔵省)に入省し、主に国際金融局にて、税・財政、金融検査官、米国経済、国際通貨基金(IMF)や国際収支、ODAなど、幅広い分野の実務に従事。シンガポール国立大学にて2年間の客員研究員も。財務省退職後は宮崎公立大学地域研究センター主任研究員に就任し、地域経済の研究に従事。地元ラジオ経済番組への定期出演や市民向けの金融セミナーの講師役も。
2017年3月、惜しまれながらSBI大学院大学を退官。大学創立メンバーの一人で、在任時は「国際金融論」「金融概論」を担当し、最新の講義データと優しい物腰で多くのファンを持つ。
大学1年の時、武道館コンサートに行き、リバプールに三回訪問するなど、長年のビートルズマニア。
野間先生