修了生の声 一桝 靖人さん/株式会社駿河屋

300年以上続いた家業の業務転換に成功、新たな価値を提供する建設会社に

株式会社駿河屋
代表取締役 九代目当主
一桝 靖人さん

一桝靖人さん

新建材を使った家づくりに覚えた違和感

――卒業後は何をされていますか?
一桝:「天然素材住宅を通じた豊かなライフスタイル」という価値を提供する「駿河屋」を経営しています。「住」から発信し、「衣」「食」「住」すべての質的向上を目指した生活提案型の建設会社です。

駿河屋

駿河屋はもともとは江戸時代から代々300年以上続く、材木業を営む会社でした。しかしながら、一見木でできているように見えるビニールのフローリングや、布のように見えるビニールクロスなど、安価で取扱い易い新建材や、輸入材に押され、材木業には厳しい時代であることを肌で感じておりました。

新建材は特に、化学物質を多分に含んでいるものも少なくなく、シックハウス症候群の一因にもなっています。大学では建築を学び、卒業後はゼネコンに就職しましたが、そうした新建材を使った家づくりが多くなされている現状に、長らく違和感を覚えていました。

そこで、2002年に先代が引退した際に勤めていた会社を退職し事業を承継、材木屋として積み上げてきた知識と伝統を活かして、天然素材にこだわって“木の香り”がする家づくりをする建設会社、「駿河屋」を作りました。


新しいビジネスのヒントを探してたどり着いたSBI大学院大学

――なぜSBI大学院大学に入学しようと思ったのですか?
一桝:先ほどもお話いたしましたが、新建材にはそれなりのリスクがあります。そうしたことをきちんと知らせずに、安くてクレームになりづらい建材をお客様に提供するのは何かが違うのではないかといつも思っていました。

加えて安価で重宝される新建材の登場により、従来の形で材木業を続けていくことは難しいこともわかっていましたし、建設会社としても下請けで建設を請け負うというビジネススタイルに将来性を見出すことができず、何か新しいビジネスのヒントはないかと模索していました。

そんな時に、定期購読していた人間学を学ぶ月刊誌の講演会でSBI大学院の第一期生の方からお話を伺う機会があり、今の自分に必要なものがあると直感して入学を決意しました。


実践型のビジネススクールなので、常に自社に当てはめて考える環境があった

――印象に残った授業はありますか?
一桝:SBI大学院の特徴的な科目は「事業計画演習」です。「事業計画演習」とは、2年次に履修できるSBI大学院での学びの集大成のような授業で、これまで学んできた知識をフル活用して自分の事業計画書を作成し、学友や、最前線で活躍しておられる実務家教員の方々にフィードバックを頂きながら、その事業計画書をブラッシュアップしていくというものです。

私はそこで、自社での新事業として「生活提案型建設会社」をテーマに計画書を作成し、在学中に、天然素材にこだわった注文住宅・リフォーム建設会社として、今の駿河屋の原型を作り上げることができました。

その他に印象に残っている授業は、刈谷講師「マーケティング実践」の授業です。マーケティング、ブランディングの役割を学び、実際にブランディング構築からプラン策定までを実践しました。授業内で実際に自社に当てはめて考えることで、中小企業がいかにしてブランド力を高めていけばいいのかを考え、フィードバックを受けることできました。

授業風景


――大学院で学んでみてよかったのはどんなところですか?
一桝:大学院で出会った仲間とは対面授業の後はよくそのまま飲みに行ったり、普段のe-ラーニングによるインターネット授業の際も時々集まって議論をしたりしていました。異なる業種、立場の人たちとの話は、時には思いもよらなかった視点を発見することもあり、非常に刺激に溢れた学びの多い時間を過ごすことができたと感じています。

学友とトレイル欄
自社の市場価値や強み、弱みを知り、ブランドイメージの策定、お客様の信頼を得る方法など、SBI大学院での学びで得た知識をフル動員させた結果、卒業時の2013年には、予想を上回る利益を上げることができました。経営者や企業家の講師陣から生の声を聴けることが、事業展開のプラスになったと思っています。

今後は、これから10年、20年先を見据えて事業計画をブラッシュアップしながら、事業を承継していくことが目標です。


PROFILE

一桝 靖人
一桝 靖人 Ichimasu Yasuhito
2014年3月MBAコース修了。
株式会社駿河屋 代表取締役 九代目当主。