金融用語集

各テーマごとに重要と思われる用語を解説。

120年ぶりの「法定利率」の引き下げについて

法定利率
民法(第404条)は、「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないとき」に適用される金利として法定利率を規定している。実務上、多くの契約では事前に利率が約定されており、法定利率が適用されるケースはあまり多くない。民法以外でも、商法(第514条)は商事法定利率として6%と規定していたが、民法改訂に伴い商事法定利率は廃止された。また、国税通則法(第66条)は、国税上の延滞利息として14.6%(原則)を規定している。
マイナス金利
日銀が2016年1月29日の金融政策決定会合において導入を決定した「マイナス金利付き量的・質的緩和政策」にて決定されたもの。各行が日銀に預けている当座預金のうちの一部(17年5月時点で約7.1%)に、▲0.1%のマイナス金利が付されている。私たちが銀行に預けている預金金利にまで、マイナス金利が生じているわけではない。
実質金利
「実質金利=名目金利-インフレ率」である。高インフレ期時(好景気の時)には名目金利も高く、低インフレ期には名目金利も低いので、実質金利ではどちらもほぼゼロとなる。ところが、近年のようなデフレ期には、名目金利はゼロ近傍の一方、インフレ率はマイナスとなり、その場合、実質金利はプラスとなってしまう。



日銀の総資産(B/S)が500兆円の大台を突破

営業毎旬報告
日銀のB/Sに関する定期報告。日銀は毎月の10日、20日、月末に、資産(国債など)や負債(発行銀行券や当座預金など)、及び、純資産の内訳を発表している。
異次元の金融緩和
日銀が2013年4月4日の金融政策決定会合において導入を決定した金融緩和策の総称。消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置き、マネタリーベースおよび長期国債等の保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を行うものとなっていた。
出口戦略
2008年の米国発金融危機による景気低迷への対応策として、主要各国が打ち出した財政・金融緩和政策を正常化する方法。米国ではFRBが米国債や住宅ローン担保証券などを買い入れて金融市場の資金供給量を増加させる量的緩和策を実施してきたが、景気回復にともない、2011年6月の米FOMCでは「出口戦略の原則」が一旦合意され、2014年1月から資産購入額の段階的縮小(テーパリング)が開始された。日本でも、「量的・質的金融緩和」を実施しているが、出口戦略については明確に示していない。
B/Sリセッション
バブル期には、銀行の融資が急拡大することにより企業の「債務」「設備」「雇用」も急拡大し、企業や銀行のB/Sが大膨張したが、バブル崩壊後の「リストラ」で、これら3つも急激な縮小に転じた。その結果、企業も銀行もB/Sが急激な縮小に転じた。こうして、バブル崩壊後の不況がB/Sの縮小を伴ったことから、「バランスシート・リセション」との表現もしばしば登場。

日本初のペイオフ発動事例で、大口預金のカット率が4割に

預金保険制度
銀行等は、「預金保険機構(Deposit Insurance Corporation of Japan:JDIC)」に、預金量に応じた保険料を支払っており、銀行破綻の場合、同機構が銀行に代わって預金者に払い戻しを行なってくれることになる(2017年度の保険料率は0.037%)。
「護送船団方式」
旧日本軍時代の用語の転用であり、最も脆弱な金融機関でさえ金融当局がその存続を事実上保障していた様子を揶揄したもの。「箸の上げ下げにまで口をはさむ」と並んで、旧大蔵省時代の事前指導型の金融行政スタイルを象徴的に表現するメディアの用語。
決済性預金
引き落としができる口座であること、預金者が何時でも引出し要求ができること、及び、無利息であること、の3要件を満たす口座。当座預金がその典型。決済性預金に関しては、現在でも預金保険制度上で全額保護のままである。
「システミック・リスク」のおそれ
ある金融機関の経営破綻が、わが国又は当該金融機関が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障を生ずるおそれあり、と内閣総理大臣が認定すること。

わが国の「アジアインフラ投資銀行」に対する立ち位置について

アジアインフラ投資銀行 (AIIB:Asian Infrastructure Investment Bank)
中国が提唱し、アジアの途上国で不足しているインフラ建設資金を融資する目的で2015年12月25日に創設された国際機関。先進国主導の世界銀行やIMF、ADBなど既存の国際金融秩序に一石を投じる存在として注目を集めている。本部は中国・北京で総裁は元中国財務次官の金立群氏。出資比率のトップも中国。
アジア開発銀行(ADB:Asian Development Bank)
アジア・太平洋地域の開発途上加盟国の経済発展に貢献することを目的とした国際開発金融機関。1966年に創設され、本部はフィリピン・マニラ。出資比率では日本が米国と並んでトップであり、全9名の歴代総裁が全て日本人(主に財務省出身者)であるなど、日本主導の国際機関。
「質の高いインフラ投資」構想
2015年5月21日に安倍首相が表明。アジアのインフラ需要に応えるべく、日本の経済協力ツールを総動員し、ADB等とも連携して今後5年間で約1100億ドルを投じる、とするもの。技術協力や人材育成などを重視する「日本流」の貢献を強く打ち出している。
「一帯一路」構想
中国の国家主席習近平氏が2013年に提唱した、アジアとヨーロッパを結ぶ二つの経済圏構想。「一帯」とは、中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる「シルクロード経済ベルト」を意味し、「一路」とは、中国沿岸部から東南アジア、インド、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸を結ぶ「21世紀海上シルクロード」を意味する。

米国政府による中国の「為替操作国」の認定は見送りに

為替操作国
「半期為替報告書」上で、貿易上の不公正な競争力を得るために、自国通貨の対ドルレートを操作している、と認定された国のこと。仮に、ある国が「為替操作国」として認定されると、米国から同国への貿易上の「報復措置」の可能性が発生する。1988年から1994年までの間は、韓国、台湾、中国が為替操作国として認定された実績はあるが、それ以降は認定の実績はない。
半期為替報告書
米国財務省は、「1988年包括貿易・競争力強化法」に基づき、年に2回(4月と10月)、主要貿易相手国に関する過去半年間の為替相場政策などを分析した報告書を議会に提出することとなっている。
3つの数値基準
①ある主要貿易相手国の米国との二国間貿易黒字が、年に200億ドルを超えていること、②同国の経常黒字が、その国のGDPの3%を超えていること、及び、➂同国の外国為替市場でのドル買い介入の額が、その国のGDPの2%を超えていること。
監視リスト
「3つの基準」を全て、充たすと「為替操作国」として認定するが、2つを充たしていると「監視リスト国」に掲載し、その為替相場政策をけん制する仕組み。
ある主要貿易相手国がひとたび、「監視リスト」に掲載されると、当該国はそれに続く2つの半期報告書上でも、監視リストに掲載され続けることとなる。