金融用語集

各テーマごとに重要と思われる用語を解説。

IMFも警鐘を鳴らしている日本の地銀経営の将来

不良債権比率
不良債権比率:総貸出し額(総与信額)に占める不良債権の割合。不良債権には銀行法に基づくものと金融再生法にもとづくものとがあり、後者による不良債権は、破綻更生等債権、危険債権、要管理債権に区分されている。預金取扱い金融機関全体の不良債権比率が直近では1.7%にまで低下しているのは本文の通りであるが、業態ごとの格差は今も大きく、主要行(メガバンク等)の比率は0.9%である一方、信用組合は4.6%である。
預貸業務
もともと、家計の余剰資金が、設備投資等で資金が必要な企業に利用されている、 という基本的な流れがある。そこで、銀行が家計と企業の間に介在し、銀行は家計から余剰資金を預金として集め、金利を上乗せして企業や個人に貸出しを行うことであり、預貸業務により銀行は「利ざや」を獲得できる。銀行の持つ3つの機能(資金仲介機能、資金決済機能、信用創造機能)のうちの資金仲介機能が預貸業務である。
間接金融から直接金融へのシフト
銀行の預貸業務を通じて、家計から企業に余剰資金が流れるのが「間接金融」であるが、証券市場の発達を背景に、大手企業の中には株式や社債を発行して家計部門より自ら直接、資金調達ができる企業も現れるようになった。これが「間接金融から直接金融へのシフト」である。しかしながら、企業の大多数は自力で社債、株式による資金調達ができるわけもなく、今日でもなお銀行からの借入れ(間接金融)に頼っている。
支払い準備制度
各銀行は、預金者からの突然の預金引出しに備えるために、預かっている預金残高の一定割合(預金準備率)以上を日銀に当座預金として預け入れることを義務づけられている。準備預金制度の対象行は一般銀行や大手の信用金庫に限られ、信用組合等は除かれている。預け入れ義務のある最低金額が「法定準備」である。かつては、わが国でも「預金準備率」の上げ下げが金融引締めや緩和の手段として用いられていた。
マイナス金利政策
日銀が2016年1月29日の金融政策決定会合で決めたものであり、金融機関が日銀に保有する当座預金の一部に対し、▲0.1%のマイナス金利を適用するもの。日銀は同年9月21日には、このマイナス金利政策に、長期金利(10年物国債金利)をゼロ%程度で推移するように長期国債の買い入れを行う政策を合わせた「長短金利操作(イールドカーブコントロール)」政策を、追加的に発表した。

米国債の海外勢保有高統計が示す米国、中国、日本の「一連托生」関係

外貨準備高
ある国の通貨当局が保有する対外的な金融資産(米国債など)のこと。家計簿で言えば、家計の大黒柱である「お父さん」が保有する対外的な金融資産に相当。外貨準備の保有目的は、通貨当局が自国通貨の急激な減価を阻止する目的で実施する外国為替市場への介入のため、及び、輸入急増による経常収支の悪化に備えるため、など。
対外純資産残高
ある国の対外資産残高(年末)から対外負債残高(同)を差し引いたネットの数値のこと。フロー統計である「国際収支表」に対して、ストック統計である「対外資産負債残高表」があり、同表の中で、対外資産と対外負債、及び、対外純資産が示される。日本や中国の場合、長年にわたる経常黒字が積み重なって、ストック面でも、巨額の対外純資産残高が積みあがっている。
米国債の海外勢保有高
米国の財務省が毎月発表している”Major Foreign Holders of Treasury Securities”のこと。”Foreign Holders “が海外勢保有者であるが、海外勢と言っても保有する主体は主に各国の通貨当局であり、民間保有分はごく僅かであることから、各国が外貨準備の一部として保有している米国債がここに計上されている、と言って良い。
取引の「基準値」
管理変動相場制下にある中国の人民元に関しては、中国人民銀行が毎朝、米ドル等の5通貨との人民元レートの基準値を発表している。そして、人民銀行はその日の人民元為替レートの変動幅が基準値の±2.0%以内に収まるように、日々の市場介入を行っている。

「一人当たり名目GDP」から見た中国の国民の豊かさについて

「改革・解放」路線
1978年12月の中国共産党大会全体会議にて、鄧小平氏により「近代国家建設」と並んで「改革・開放」路線への転換が宣言された。「先豊論」(先に豊かさを獲得した沿海部が経済開発の遅れた内陸部を直接・間接に支援することで、最終的には両者とも豊かさを獲得する)の下に、「経済特区」を設立。海外からの進出企業に様々な優遇策を実施するなどにより、外資導入をテコにした輸出主導型の経済開発戦略が採られた。
世界経済見通し
IMFが毎年1月、4月、7月、10月の年4回、発表している“WEO : World Economic Outlook”のこと。各加盟国や先進国、途上国、世界全体の実質成長率に関する最新予測などが掲載されており、前回と比べて上方修正か下方修正か、にも大きな注目が集まる。様々な世界経済見通しの中で、IMFのWEOが最も権威が高い、とされている。
ビックマック平価
「エコノミスト誌」(英国の経済専門誌)は、世界中の街角で売られているマクドナルド社の「ビッグマック」の価格を手掛かりに「ビックマック平価」を試算している。ビックマック平価は、「購買力平価説」(通貨はもともと、財の購買手段であるので、為替レートも各国通貨の購買力の相対的な変化(インフレ率の差異)を反映して決まるはずとする)に基づく試算値に過ぎないが、人民元に関しては、1ドル≒3.6人民元がビックマック平価であり、人民元の市場為替レートが「実力」よりも安く据え置かれている、との推測の根拠としてしばしば引用されている。 
公式統計の信憑性
中国の公式統計の信憑性は、以前より問題視されてきた。何故なら、中国は超大国であり統計データの捕捉も極めて困難なはずなのに、公式統計発表のタイミングが非常に早いのみならず、国、省、特別区に至る各レベルで重複して大量発表されていること、及び、共産主義国家である中国の公式統計には、意図的な改竄の歴史がある(50年代の「大躍進」の時代には、穀物生産の数値を過大発表)こと、などによる。中国政府自身も「国家統計局」の設立等、統計改善には努力を重ねてきたとしているが、それでも、中国の公式統計の信憑性に疑念を呈する記事や観測は後を絶たない。例えば、地方の域内総生産の合計が国全体のGDP総額を1割前後上回る、とするなど。

私たちの家計はどれくらいの金融資産を保有しているか

資金循環統計
日銀が四半期毎に発表する統計であり、金融機関や企業、家計、政府など各部門の「金融資産」と「負債」の推移を、預金や貸出といった金融商品ごとに記録したもの。これにより、お金の流れを全体的に把握することができる。例えば、家計がどの「金融資産」を保有し、どの「金融資産」に資金を移動させたか、などを見ることができる。
家計部門の金融資産残高統計
資金循環統計の一部であり、家計部門の資産と負債の各々につき、項目(現預金や貸出し等)ごとに計数が示されている。資金循環統計のうち家計部門の金融資産残高への注目度合が一番高い。なお、家計部門の金融資産残高統計については、16年9月末の統計改訂により、2004年度以降の数値が遡及改定された。
保険・年金等
「保険・年金等」の主なものは「生命保険受給権」と「年金受給権」である。このうち、生命保険受給権は死亡した場合の生命保険金、などである。また、年金受給権は企業年金(確定拠出年金、及び確定給付年金)の受取り予定額であり、公的年金(国民年金と厚生年金)の受給権(受取り予定額)は含んでいない。
金融広報中央委員会
金融広報中央委員会は、政府、都道府県金融広報委、日銀、民間団体等と協力して、中立・公正な立場から、暮らしに身近な金融に関する幅広い広報活動を行っており、その事務局は日銀の情報サービス局内に置かれている。同委は、1952年に貯蓄増強中央委として発足したが、今日では、「金融経済情報の提供」と「金融経済学習の支援」が活動の両輪であり、金融に関する情報普及活動を通じ、健全で合理的な家計運営の支援をしている。

120年ぶりの「法定利率」の引き下げについて

法定利率
民法(第404条)は、「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないとき」に適用される金利として法定利率を規定している。実務上、多くの契約では事前に利率が約定されており、法定利率が適用されるケースはあまり多くない。民法以外でも、商法(第514条)は商事法定利率として6%と規定していたが、民法改訂に伴い商事法定利率は廃止された。また、国税通則法(第66条)は、国税上の延滞利息として14.6%(原則)を規定している。
マイナス金利
日銀が2016年1月29日の金融政策決定会合において導入を決定した「マイナス金利付き量的・質的緩和政策」にて決定されたもの。各行が日銀に預けている当座預金のうちの一部(17年5月時点で約7.1%)に、▲0.1%のマイナス金利が付されている。私たちが銀行に預けている預金金利にまで、マイナス金利が生じているわけではない。
実質金利
「実質金利=名目金利-インフレ率」である。高インフレ期時(好景気の時)には名目金利も高く、低インフレ期には名目金利も低いので、実質金利ではどちらもほぼゼロとなる。ところが、近年のようなデフレ期には、名目金利はゼロ近傍の一方、インフレ率はマイナスとなり、その場合、実質金利はプラスとなってしまう。



日銀の総資産(B/S)が500兆円の大台を突破

営業毎旬報告
日銀のB/Sに関する定期報告。日銀は毎月の10日、20日、月末に、資産(国債など)や負債(発行銀行券や当座預金など)、及び、純資産の内訳を発表している。
異次元の金融緩和
日銀が2013年4月4日の金融政策決定会合において導入を決定した金融緩和策の総称。消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置き、マネタリーベースおよび長期国債等の保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を行うものとなっていた。
出口戦略
2008年の米国発金融危機による景気低迷への対応策として、主要各国が打ち出した財政・金融緩和政策を正常化する方法。米国ではFRBが米国債や住宅ローン担保証券などを買い入れて金融市場の資金供給量を増加させる量的緩和策を実施してきたが、景気回復にともない、2011年6月の米FOMCでは「出口戦略の原則」が一旦合意され、2014年1月から資産購入額の段階的縮小(テーパリング)が開始された。日本でも、「量的・質的金融緩和」を実施しているが、出口戦略については明確に示していない。
B/Sリセッション
バブル期には、銀行の融資が急拡大することにより企業の「債務」「設備」「雇用」も急拡大し、企業や銀行のB/Sが大膨張したが、バブル崩壊後の「リストラ」で、これら3つも急激な縮小に転じた。その結果、企業も銀行もB/Sが急激な縮小に転じた。こうして、バブル崩壊後の不況がB/Sの縮小を伴ったことから、「バランスシート・リセション」との表現もしばしば登場。

日本初のペイオフ発動事例で、大口預金のカット率が4割に

預金保険制度
銀行等は、「預金保険機構(Deposit Insurance Corporation of Japan:JDIC)」に、預金量に応じた保険料を支払っており、銀行破綻の場合、同機構が銀行に代わって預金者に払い戻しを行なってくれることになる(2017年度の保険料率は0.037%)。
「護送船団方式」
旧日本軍時代の用語の転用であり、最も脆弱な金融機関でさえ金融当局がその存続を事実上保障していた様子を揶揄したもの。「箸の上げ下げにまで口をはさむ」と並んで、旧大蔵省時代の事前指導型の金融行政スタイルを象徴的に表現するメディアの用語。
決済性預金
引き落としができる口座であること、預金者が何時でも引出し要求ができること、及び、無利息であること、の3要件を満たす口座。当座預金がその典型。決済性預金に関しては、現在でも預金保険制度上で全額保護のままである。
「システミック・リスク」のおそれ
ある金融機関の経営破綻が、わが国又は当該金融機関が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障を生ずるおそれあり、と内閣総理大臣が認定すること。

わが国の「アジアインフラ投資銀行」に対する立ち位置について

アジアインフラ投資銀行 (AIIB:Asian Infrastructure Investment Bank)
中国が提唱し、アジアの途上国で不足しているインフラ建設資金を融資する目的で2015年12月25日に創設された国際機関。先進国主導の世界銀行やIMF、ADBなど既存の国際金融秩序に一石を投じる存在として注目を集めている。本部は中国・北京で総裁は元中国財務次官の金立群氏。出資比率のトップも中国。
アジア開発銀行(ADB:Asian Development Bank)
アジア・太平洋地域の開発途上加盟国の経済発展に貢献することを目的とした国際開発金融機関。1966年に創設され、本部はフィリピン・マニラ。出資比率では日本が米国と並んでトップであり、全9名の歴代総裁が全て日本人(主に財務省出身者)であるなど、日本主導の国際機関。
「質の高いインフラ投資」構想
2015年5月21日に安倍首相が表明。アジアのインフラ需要に応えるべく、日本の経済協力ツールを総動員し、ADB等とも連携して今後5年間で約1100億ドルを投じる、とするもの。技術協力や人材育成などを重視する「日本流」の貢献を強く打ち出している。
「一帯一路」構想
中国の国家主席習近平氏が2013年に提唱した、アジアとヨーロッパを結ぶ二つの経済圏構想。「一帯」とは、中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる「シルクロード経済ベルト」を意味し、「一路」とは、中国沿岸部から東南アジア、インド、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸を結ぶ「21世紀海上シルクロード」を意味する。

米国政府による中国の「為替操作国」の認定は見送りに

為替操作国
「半期為替報告書」上で、貿易上の不公正な競争力を得るために、自国通貨の対ドルレートを操作している、と認定された国のこと。仮に、ある国が「為替操作国」として認定されると、米国から同国への貿易上の「報復措置」の可能性が発生する。1988年から1994年までの間は、韓国、台湾、中国が為替操作国として認定された実績はあるが、それ以降は認定の実績はない。
半期為替報告書
米国財務省は、「1988年包括貿易・競争力強化法」に基づき、年に2回(4月と10月)、主要貿易相手国に関する過去半年間の為替相場政策などを分析した報告書を議会に提出することとなっている。
3つの数値基準
①ある主要貿易相手国の米国との二国間貿易黒字が、年に200億ドルを超えていること、②同国の経常黒字が、その国のGDPの3%を超えていること、及び、➂同国の外国為替市場でのドル買い介入の額が、その国のGDPの2%を超えていること。
監視リスト
「3つの基準」を全て、充たすと「為替操作国」として認定するが、2つを充たしていると「監視リスト国」に掲載し、その為替相場政策をけん制する仕組み。
ある主要貿易相手国がひとたび、「監視リスト」に掲載されると、当該国はそれに続く2つの半期報告書上でも、監視リストに掲載され続けることとなる。