教員ブログ

韓国のネット銀行ブーム-カカオバンクのお話

マーケティング

准教授 徐 恩之



 カカオトークというアプリをご存知ですか。これは、日本のラインみたいに、スマートフォンを買うと絶対ダウンロードするといわれている韓国の国民的アプリです。このアプリを積極的に利用している利用者の数は、4200万人に至るといわれています。このカカオトークを展開しているカカオは、2017年7月27日カカオバンクを立ち上げ、本格的にネット銀行産業に入り、事業を始めました。カカオバンクは、事業開始5日で200万個の口座開設を成功ましたが、この数値は潜在需要を考えても大きいものと言われています。実にカカオバンクが5日で確保した200万口座は、韓国シティバンクの全体顧客数(400万)の25%に該当します。今回のブログでは、韓国で大ブームとなっているカカオバンクのサービス内容と既存銀行との差別化ポイントについて紹介します。

 カカオバンクのスローガンは、「同じだけど異なる銀行」。権威的な銀行のイメージから離れて、誰でもが簡単に利用できる親しみやすいコンセプトで、既存の銀行とは異なるサービスを提供しているといわれています。まず、代表的な特徴として挙げられるのが、海外送金手数料の安さです。例えば、アメリカへの送金の場合、5000won(約500円)の送金手数料のみがかかりますが、これは他社の一般的な手数料の半分以下になります。なお、モバイルを通じて最大8分でいつでも簡単に口座設置ができるのも大きな魅力です。なかでも、もっとも注目すべきサービス特徴は、カカオバンクの口座に入っているお金を、カカオトークというアプリを通じて簡単に送金できる点です。つまり、カカオバンクは、カカオトークのフラットフォームを、ネット銀行事業で、そのまま活用しています。銀行の窓口での相談は、カカオトークを通じて行われます。なお、金融商品はカカオトークのフラットフォームの中で加入し、お支払いが可能であるということで、利用者は、既存の持っているカカオトークのアプリを通じて、銀行サービスを家でもできるということで便利性がとても高いといえます。

 カカオバンクは、特に大学生に人気が高いです。韓国の大学生200万人が利用する大学生活アプリエブリタイムが、2017年10月16日から10月23日まで実施した“大学生銀行利用実態調査”では、営業開始3カ月で、大学生の最も使う銀行として、カカオ銀行が、ハナ銀行のような既存の有名銀行のシェアを上回る結果となりました。銀行を選択する際、韓国の大学生がもっとも重要視する要素は、銀行の接近性とカードそのもののベネフィット(割引など)。それに続きインターネットやモバイルの接近性を重視していることが、調査を通じてわかりました。そして、ネット口座を開設した大学生がネット専門銀行を利用する理由としては、簡単さ、カカオトークの魅力的なキャラクター、金利のベネフィット、好奇心が挙げられました。

 カカオバンク
 出所:https://www.kakaobank.com/より

 カカオトークという国民的なフラットフォームが使える便利性とかわいいキャラクターの親密感を、既存銀行との差別化要素としているカカオバンク。ネット銀行ビジネスのリスク管理能力、利用者集中によるサーバーの過負荷、中長期成長性といった問題について疑問の声もある中、さらなる成長が期待されています。

 

参考資料
ホンチャンウォン(2016)「明日のフィンテック」メイル経済新聞社
http://www.edaily.co.kr/news/news_detail.asp?newsId=01620326616097184&mediaCodeNo=257&OutLnkChk=Y